9月定例会にて一般質問で登壇しております。
今回も2問。約40分の質疑応答です。
(正式な議事録ではなく音声をもとに書き起こしております。)
1つめは鶴岡市におけるふるさと納税の活用について。
制度がはじまって10年。当初平成20年度は全国で80億円程度だったものが、クレジットカード決済の導入や確定申告不要のワンストップ特例制度等が補完され29年度は3653億円。非常に大きな「市場」となっておりいる。また、「税金が安くなる・2000円で返礼品を手に入れることができる」という絶対的にお得な仕組みの特性上、1度ふるさと納税をした人は当然次年度以降も続ける可能性も高く、大幅にこの規模が減るということは考えづらく、継続的な地方の財源として今後も見込めるとものと考える。返礼品合戦の過熱から29年4月、また本年4月にも総務省が返礼品に関するガイドラインを出し、(さらにはこの9月、質問の前日に高還元率返礼品に法的措置を考えるという報道もありました。)いわゆる制限がかかった中でも全体で前年を大きく上回っていることは一部のお得感を前面に出した自治体のみの収益ではなく幅広い市町村が取り組みを行いすそ野が広がった状態に移行していると考えられる。すでに高還元率などではない競争が始まっているともとらえられ、本市においても工夫しながらある程度毎年見込める財源として位置づけ様々な施策を打つべきである。
➀30年度の最新の状況確認。金額・件数、それぞれの昨年同時期対比、納付金額帯の割合、人気の返礼品は?また、本市と対比しわかる範囲で山形県内他市町村の状況、金額や前年対比等は?
【回答要約】
・30年度4-8月の状況。受付約12000件、金額約1億6000万円。昨年同時期は受付約25000件、金額約3億2000円。件数、金額とも前年比約50%。総務省の通知を受け、返礼品を受付金額の3割にしたことが要因と考えている。
・1万円~2万円の価格帯が多い。件数で約10000件、金額で約1億1700万円。全体の70%を占める。
・人気の返礼品は庄内砂丘メロンが約4900件、だたちゃ豆が約2700件でこの2品目で全体の40%を占める。
・県内の状況では4-6月の3か月の集計で県内市町村全体で昨年同時期金額比約50%。
➁県内はトータルだと前年比約50%とのことだが、この数字は一部の高還元返礼品を用意していた自治体が在庫の兼ね合いで昨年4-6月期までは高還元返礼を続けていたためである。高価格高還元自治体への駆け込み需要の要素もある。一方、本市については概ね3割を守りながら返礼品を組んでいる状態で減少の理由が見えにくい状況。7-8月、主力のメロンの受注を受けてのこの数字だと年間通じても非常に厳しい結果になると推察できる。
なぜこのような状況になるのか私なりに気づいた点の提言。
1つ目は返礼品の還元率。返礼品の還元率は総務省のガイドラインでは30%を目安にということになっております。本市の返礼品の一部を紹介しますと10000円のふるさと納税の返礼品は「鶴岡産のコメつや姫5kgと味噌400g」というのがありますが、近所のスーパーで値段の確認をしますとつや姫は税込み2354円、味噌は400gという単位で売っておらず、1kg408円。併せて2765円分の返礼品。他市町村が直接取引を含めできる限りお得感を出そうと努力しているのを加味すると圧倒的にお得度が低い見え方をしている。外注経費等が返礼品調達コストに入っているとすれば見た目のお得感が減るということで、物品自体が3000円になる作業委託の方法(例えば委託料は別経費で支払うなど)の検討が必要ではないか。
2つ目は広報費。総務省が発表している平成29年度の全国の地方自治体の広報費の平均は納税額に対して1.5%。山形県においてもある程度結果を残している自治体の広報費は1.0%前後ある。鶴岡市のファンはもちろん確保しながら、いろいろな返礼品を期待する一定のユーザーもいるため、常に宣伝をする必要がある。特にネットでの宣伝やそれぞれのふるさと納税サイトでの特集記事等広報できるツールがあるはずだが、現状の広報費の額とその納税額に対する割合、広報費の使い道、今後の広報についての考え方は?
【回答要約】
・返礼品は約80の市内業者が製造加工栽培等の中から本市にゆかりのあるもの、返礼品としてふさわしいものを選定し、それらの業者で構成する鶴岡地区物産協同組合から購入している。
・基本的には市場価格相当だが、組合が組合員に発注するシステムになっているため一定経費が価格に含まれることになる。価格に見合う返礼品となるような努力を要請するとともに、手数料等の支払仕様についても費用対効果や他団体の例を参考にしながら検討したい。
・平成29年度はGW期間中のトップバナー広告で約55万円仕様。お金がかかっていないが、雑誌やネットの特集に取り上げていただいている。寄付はネットを通じたものが多く、3つの大手納税ポータルサイトを活用しているが、ここでのPRに努めたい。
➂返礼品の今後について。現状高還元率競争は終息し、返礼品を目的よりも何に使われるかという本来のふるさと納税の姿に回帰する過渡期。総括質問(黒井議員)内で出たクラウドファンディングの可能性もその一つ。実家の空き家管理・屋根の雪下ろしなども返礼品として成立しておる例もある。様々な体験メニューも返礼品と定着している状況。現状、本市では赤川花火を絡めた宿泊等の返礼品も実施しているが、宿泊も含めた体験メニューの開発について予定はあるか?また、例えば三瀬の出身者が三瀬の活性化のために使ってほしいという納税は自治会に渡して地域活動に直接的に使うなども可能性があるのではないか?地域単位・自治会単位での返礼品というアイディアも出る可能性もある。そのようなふるさと納税の地域への広がりについてぜひ取り組んでいただきたい。さらに、そのような形になると1つの部署で扱えず、部署を横断的に取り組むプロジェクトが必要。地方自治体によっては「ふるさと納税課」などを設置しているところもある。内部の組織体制づくりについて今後の方向性は?
【回答要約】
・ふるさと納税は単にサイトに載せ特産品をPRする段階からいかに戦略的に市の施策に取り込むかが問われている。地域活性化につながる体験メニューをラインアップに加えることは有効と考える。各地域から意見・アイディアを聞き進めていきたい。
・自治会活動の財源としての活用も先進地事例を参考に本市の実情に合った形で研究していきたい。
・これまでも部署横断で取り組んでいるが、企画開発型のプロジェクトが求められてる状況のためさらに連携を強化したい。
ふるさと納税については新聞紙上を賑わすような様々問題はあるものの、地方の財源として確立しつつある。宣伝方法、返礼品の内容等工夫次第で「ヒット商品」を開発できる可能性を多く含んでいる。さらに災害時の代理寄付制度など自治体同士で助け合える仕組みも存在し、リスクヘッジの工夫も生まれている。3600億円、しかもそれは地方に入るお金と認識し持続的な財源として確保できる仕組みを作ることが急務。現状昨年の50%という中、今年の盛り返しはもちろんのこと、質問内に提言にあるような取り組み強化を!
質問動画はこちら↓YouTubeにとびますとびます。