3月20日、提出された請願に対して反対討論をいたしました。
「核兵器禁止条約の署名・批准を国に求める意見書提出に関する請願」
 核兵器の廃絶を目指すことは当然取り組むべきことながら、なぜ「今」この条約に反対する必要があるのかを述べております。この条約を批准するだけではなく様々な取り組みを包括的に対応し、核兵器の廃絶を目指すべきという内容です。

<「核兵器禁止条約の署名・批准を国に求める意見書提出に関する請願」に対する反対討論>
 核兵器に関しては一旦使用されると広範囲に多大な惨禍をもたらすもので、その使用は人道的なものではないということ、そして何より唯一の被爆国として我が国が核兵器の廃絶を目指すことは当然でありますし、今後も継続すべきことだと思います。
 一方で、核兵器の脅威がいまだに存在することも事実で、核軍縮に取り組むうえでは人道の観点のみならず、安全保障の視点も必要だと思います。
 人道的な観点からみると本請願にあります核兵器禁止条約が目指すものは理解できます。しかしこの条約にはアメリカ、ロシアなど(イギリス、フランス、中国という)核兵器保有国が反対しております。この核保有国を動かすことが真の核廃絶に必要な要件と思いますが、現時点ではそれはできません。さらに安全保障の現状を踏まえていないことから韓国、ドイツ、NATO諸国の核兵器の脅威と向き合う非核兵器国の支持も得られていません。
 核兵器禁止条約の採択に賛成した国はそのような脅威に直接さらされていない国が多く、非核兵器国同士の隔たりをも生む状況です。
 具体的な安全保障の問題としては、北朝鮮の核及び弾道ミサイル開発の進展があります。我が国を含む近隣地域の平和にとって重大な脅威となっております。このような相手に対しては核兵器による抑止が必要ですが、非核三原則を国是とする日本自らが核抑止力を保有することはあり得ません。現実問題、日米同盟のもとで米国の抑止力に頼る以外ないのではないでしょうか。
この条約は厳しくかつ微妙な安全保障の問題を考慮することなく、即座に核兵器を違法とするもので、参加すればアメリカによる抑止力の正当性を失い、結果として日本国民の生命や財産が危険にさらされることとなるのではないでしょうか。
 外務大臣のコメントを報道等で確認すると、「我が国においてはNPT(核兵器不拡散条約)やCTBT(包括的核実験禁止条約)、FMCT(核兵器用核分裂性物質生産禁止条約)といった核兵器国も非核兵器国も参加する取り組みを実施していくべく各国への働きかけを強めていきます。」とあります。核兵器禁止条約に参加しないことが核軍縮、核廃絶への努力をしないということにはならないと考えます。
 核兵器廃絶に向けた努力を続けていく必要があるのは当然の上、米朝首脳会談を筆頭にここ最近の北朝鮮の対話への動きは注視しなければなりませんが、現時点での安全保障の状況を鑑みると核兵器禁止条約の速やかな署名を求める意見書を提出することは適当ではないと判断するところです。
以上の理由から本請願には反対いたします。

現在進行形の北朝鮮を取り巻く状況には注視しながら、核の廃絶へ一歩一歩進むべきだと考えております。私の反対討論は以上でしたが、他会派無所属議員から賛成討論がありましたので併せてごらんください。

http://www.city.tsuruoka.lg.jp/shisei/gikai/turuokasigikairokuga/gikai0120180320.html

市議会での賛否は賛成少数で不採択となっております。

<追記>
なおこのブログをアップした4月24日現在、北朝鮮の動きは更に活発化しております。核実験の中止等宣言し平和へ少しづつ前進しているとは思いますが、核自体を放棄したわけではない上、過去に国際的な約束を様々な理由で反故にしてきた経緯もあります。数日後に控える南北首脳会談を筆頭に引き続き状況を注視した上で、包括的に核廃絶に向かうことが必要であると考えます。