一般質問の2問目は「再生可能エネルギーの利用について」。

 世界的な地球温暖化への対策や、東日本大震災とそれに伴う福島での原発事故を受け、今や全国で様々な形の取り組みが行われている再生可能エネルギー。本市においては平成25年に鶴岡市地域エネルギービジョンを策定しており、そのビジョン内においては多様な再生可能エネルギーの可能性について触れられていますが、策定から5年。現状はどうなのか?県においては平成32年度に消費電力の14%、平成42年度に消費電力の25%と数値目標を掲げ導入を図っているが本市において工程はどうなっているのか?

➀鶴岡市地域エネルギービジョンに基づく取り組みの現状は?
【回答要約】
・平成25年策定のビジョンに沿って取組を実施。市民や事業者向けには木質バイオマスや太陽光発電等の導入に対し補助制度実施。平成25年~28年度までで203件、29年度は60件の応募がある。太陽光発電の発電量は最大で1417キロワット。
・市有施設への導入では災害時の非常電源整備に太陽光などの再生可能エネルギーも組み合わせており、自立分散型のエネルギー減の確保に努めている。
・ビジョンには掲載されていない追加要素だが、発電規模300キロワットの消化ガス発電事業が浄化センターで稼働。
・県が実施の小水力発電事業への経費面での協力も実施。
・民間では1995キロワットの木質バイオマス発電が稼働。また、28年度には湯浜温泉で未利用熱活用事業として、国、県、市が支援。三瀬地区の大規模風力発電計画等もある。
・工程に照らした場合の進捗は当初の予定通りとはいかないが、各方面で充分進捗していると考えている。今後も情勢の変化に対応しながら導入・利用を推進していきたい。
➁再生可能エネルギーの中でも、木質バイオマスについて。県内には8つの木質バイオマス発電が稼働中もしくは稼働予定だが、需給バランスに不安を覚える。このような外的要因もふまえ本市における木質バイオマス発電の現状と課題は?
【回答要約】
・山形県内稼働もしくは稼働予定の8つの木質バイオマス発電所並びに新庄市に建設された大型集成材工場で利用する国内材料は計画の段階の丸太数量で約41万5000トン。山形県内の丸太生産量は優良材も含め平成27年度は33万5000トン、28年度は39万2000トン。1年で17%増産しているものの需要を県産材で賄えない。材の取り合いが起こっている。
・木材生産がこれまで間伐材主体であったため急激な需要増加に追い付いていない。
・本市においては林齢50年を迎えて成熟状態にある木が約74%という状況。市内にある木質バイオマス発電の需要量である3万5000トンを十分賄う資源量が保存されている。森林整備計画に基づき支援を続けたい。
➂公共施設における木質バイオマスの導入についての考え方は?
【回答要約】
・平成24年制定の鶴岡市公共建築物等における木材の利用促進に関する基本方針の中で木質ペレット等を燃料とする暖房機器やボイラーの導入も推進。西郷地区農振活性化センター、朝日中学校、羽黒庁舎にペレットボイラー、自然学習交流館ほとりあに薪ストーブ、朝日保育園にペレットストーブを導入。
・現時点で木質バイオマス燃料機器を導入予定の施設はないが、立地や周辺環境への影響、施設管理者の意向など総合的に判断し導入を考えたい。
➃各家庭、事業者における木質バイオマス熱利用拡大のための方策は?
・平成25年度から木質バイオマス、太陽光発電などの設備に対して補助制度を実施。広報やホームページでお知らせし、普及を図っている。

以上。

 三瀬地区において実施中(平成28年度、29年度2か年)の環境省「地域活性化に向けた協働取組の加速化事業」。これは地域内経済循環のみならず森林整備、雇用の創出、保育・教育とのつながり、福祉とのつながりなど木質バイオマスを利用しながら地域課題の同時解決を目指したものです。2月17日(土)、この事業の報告会議に参加してまいりましたが、その中で2015年国連が決定した持続可能な開発目標、いわゆる「SDGs」との関連も報告されました。すべての国に普遍的に適用される2030年までの17の目標、169のターゲット、244の指標によって成り立つ「SDGs」はその単体での目標達成はもちろんですが、環境、社会、経済分野の課題同時解決や異なる視点・資源により復讐の価値を見出し新たな解決策を生み出すことが今後重要になってくるとの提言でした。本市における木質バイオマスの利用はこのような観点からも非常に有効な手段だと考えております。人口減少が今後も見込まれる中、予算は限られます。30年度議論される総合計画においても再生可能エネルギーのみならず様々な面での縦割りを排除した同時課題解決を目指すことが重要になるのではないかと思います。2020年の東京オリンピックパラリンピックもあり、今後も「SDGs」の観点も注目していきたいです。